デンカ プレタスコンシリーズとは?種類・使い方・選び方を徹底解説!

はじめに:「無収縮モルタル」って何?

コンクリートやモルタルは、固まる時に少し縮む性質があります。縮んでしまうと、充填した箇所とコンクリートの間に隙間ができ、強度が出なかったり、荷重がうまく伝わらなかったりという問題が起きます。

「無収縮モルタル」は、その名の通り固まっても縮まない特殊なモルタルです。隙間なくぴったりくっつくため、橋や建物の重要な部分の補強・補修工事に使われます。

デンカ プレタスコンシリーズは、デンカ株式会社が提供するセメント系の無収縮グラウト材(充填材)のシリーズです。水を混ぜて練るだけで使える「プレミックスタイプ」なので、現場での作業がシンプルで品質も安定しています。


プレタスコンシリーズの特長

  • 水を混ぜるだけで使えるプレミックスタイプで、現場作業が簡単
  • 縮まない・沈まないので、構造物とがっちり一体化できる
  • 流動性が高く、狭い隙間の奥まで入り込む
  • ブリーディング(水が浮き出る現象)が発生しないので、品質が安定
  • 橋・建物・機械基礎など、幅広い工事に対応する豊富なラインナップ

こんな場面で使われています

プレタスコンシリーズは、以下のような工事現場で活躍しています。

  • 橋梁の沓座(しゅうざ)基礎:橋と橋脚のつなぎ目への充填
  • 鉄骨柱の柱脚グラウト:建物の鉄骨柱根元への充填
  • 建物の耐震補強工事:ブレース補強などの間隙充填
  • 機械基礎グラウト:大型機械の精密据付け
  • 橋脚の鋼板巻き立て補強:橋脚を鋼板で補強する際の充填
  • アンカーボルトの定着
  • プレキャスト板(工場で作った部材)の接続部

種類と選び方

プレタスコンシリーズは用途に合わせて多くのタイプが揃っています。現場の状況に合わせて最適な製品を選ぶことが大切です。


標準タイプ ―― まず検討したいスタンダード品

一般的なグラウト工事に幅広く対応するベーシックなラインナップです。

TYPE-1 迷ったらまずこれ。一般グラウト工事用として広い用途に対応した、シリーズの定番製品です。橋梁・機械基礎・建築耐震補強・逆打工法の打ち継ぎ部などに使用できます。

TYPE-1S 隙間が狭い場所(小間隙)への充填に特化したタイプ。橋脚の鋼板巻き立て補強など、細かい隙間にもしっかり入り込みます。

TYPE-M 充填箇所が比較的厚め(深め)の工事や、夏場・高温時の施工、大量打設に適したタイプ。水和熱(セメントが固まる時に出る熱)を抑える効果があり、品質を安定させます。


流動性保持タイプ ―― 夏場や広い範囲の施工に

TYPE-1R 夏場など気温が高い環境でも、流動性(柔らかさ)を長く保てるタイプです。広い面積に充填する場合や、施工に時間がかかる現場でも安心して使えます。


ひび割れ対策タイプ ―― 長期耐久性を重視する工事に

TYPE-LS500 型枠を外した後の乾燥収縮によるひび割れを抑えたタイプです。土木・建築物のグラウト工事、耐震補強、断面修復工事など、従来より幅広い分野で使用できます。ひび割れが少ないため、長期的な耐久性に優れています。


高強度タイプ ―― より大きな強度が必要な場面に

TYPE-U60 28日後の強度が60N/mm²以上を発現する高強度タイプ。プレキャスト板の接続部やハイブリッド耐震、橋梁・機械基礎など、高い強度が求められる場面に対応します。

TYPE-U 28日後の強度が80N/mm²以上を発現する、さらに高強度なタイプ。プレキャスト板接続や建築耐震補強などで、特に大きな耐力が必要な箇所に使用します。


急硬タイプ ―― 緊急補修・短時間で固めたい時に

ハイプレタスコン TYPE-1 短時間で強度が発現する急硬タイプ。緊急補修工事など、すぐに固める必要がある場面に活躍します。

ハイプレタスコン TYPE-2 TYPE-1と同じく急硬タイプで、砂の量が多め(セメント砂比 1:2)のため、より多量の施工に経済的に対応できます。緊急補修工事や夏季施工にも適しています。

ハイプレタスコン TYPE-H 超速硬タイプ。わずか3時間で24N/mm²以上の圧縮強度を発現するため、とにかく早く固めたい緊急工事に最適です。

ハイプレタスコン TYPE-1S 急硬タイプに加え、狭い隙間への充填性も兼ね備えた製品です。


特殊用途タイプ ―― 特殊な現場環境に対応

TYPE-NH(重量モルタルタイプ) 放射線遮蔽が必要な場所(原発関係など)向けの重量モルタルタイプ。非鉄系の重量骨材を使用しているため、長期にわたって錆の発生がなく、振動や温度変化の激しい環境でも優れた耐久性を発揮します。

TYPE-AP2(水中不分離タイプ) 水の中でも分離しない「水中不分離性」を持つ特殊なタイプ。河川や港湾などの水中構造物へのグラウト充填に使用します。

パッドプレタスコン(機械据付専用) 大型機械の高精度な据付けやレベル出し(高さ調整)に特化した製品。成形性や作業性に優れ、機械基礎のパッドモルタルとして使用します。


選び方のまとめ

状況おすすめ製品
まず検討するならTYPE-1
隙間が狭い場所TYPE-1S / ハイプレ TYPE-1S
夏場・高温時・大量施工TYPE-M / TYPE-1R
ひび割れを抑えたいTYPE-LS500
高い強度が必要(60N/mm²以上)TYPE-U60
さらに高い強度が必要(80N/mm²以上)TYPE-U
緊急補修・すぐ固めたいハイプレ TYPE-1 / TYPE-2 / TYPE-H
水中での施工TYPE-AP2
機械の精密据付けパッドプレタスコン
特殊重量モルタルが必要TYPE-NH

基本的な使い方の流れ

プレタスコンシリーズの施工は、おおよそ以下のステップで行います。

  1. 充填箇所の準備:コンクリート面の油類・汚れを除去し、十分に水で湿らせる
  2. 練り混ぜ:所定量の水を容器に入れ、本品を加えながらミキサーで高速攪拌する(概ね90秒)
  3. 流し込み・注入:型枠内に流し込むか、ポンプで圧入する
  4. 養生:硬化するまでの間、乾燥や衝撃を与えないようにする

※詳しい使用水量や施工方法は製品ごとの施工要領書を必ずご確認ください。


まとめ

デンカ プレタスコンシリーズは、橋梁・建築物の耐震補強・機械据付など、インフラを支える重要な工事現場で広く使われている信頼性の高い無収縮モルタルです。

用途・施工環境・必要な強度に応じて多くのバリエーションが揃っているため、現場の条件に合わせた最適な製品を選ぶことができます。

どの製品を選べばよいか迷った場合や、詳しい技術的なご相談は、お気軽にお問い合わせください。


掲載情報は公式ページ(デンカ特殊混和材 会員サイト)をもとに作成しています。最新情報は公式サイトまたはカタログにてご確認ください。