「無収縮モルタル」夏場の材料選定について

はじめに

こんにちは、川上産業です。

これからの季節、グラウト充填工事を予定されている現場では「どの材料を選ぶか」が仕上がりの品質を大きく左右します。

今回は、デンカ株式会社の無収縮グラウト材「プレタスコン」シリーズの中から、夏季・高温時の施工に特に適した TYPE-M について、TYPE-1 との違いとともにご紹介します。

夏の施工でグラウト材が受けるリスク

気温が高い時期にグラウト充填を行うと、以下のような問題が起きやすくなります。

水和熱が上昇し、モルタル温度が高くなりすぎる

グラウト材が固まるとき、セメントが水と反応して熱を発生させます(水和熱)。外気温が高い夏場はこの熱が逃げにくく、モルタルの内部温度がさらに上昇します。特にグラウト厚が大きい箇所や1回の打設量が多い場合は、温度上昇が顕著になります。

急激な硬化・ひび割れのリスク

温度が高くなると硬化が速くなりすぎ、施工中に流動性が落ちて充填不良が起きたり、硬化体にひび割れが生じたりすることがあります。充填が不完全だと、耐震補強工事では補強効果が十分に発揮されません。

品質のバラつき

一般タイプのグラウト材は高温条件下での品質安定性が限られる場合があります。現場の温度条件によって仕上がりにばらつきが出るリスクがあります。

プレタスコン TYPE-1 と TYPE-M の違い

デンカ プレタスコンシリーズはいずれも無収縮・高流動・ブリーディングなしという基本性能を持ちますが、TYPE-Mには「水和熱抑制」という重要な特長が加わっています。

比較項目TYPE-1(汎用タイプ)TYPE-M(水和熱抑制タイプ)
水和熱通常低減(専用成分配合)
夏季・高温時対応可(要注意)推奨(公式カタログ記載)
マスモルタル非対応対応(大型基礎・大量打設)
使用温度範囲モルタル温度 5〜35℃モルタル温度 10〜35℃
荷姿紙袋 25kg紙袋 25kg
主な用途一般グラウト工事全般大型基礎・耐震補強・夏季施工

※上記データはデンカ株式会社の公式カタログに基づきます。

TYPE-Mが夏の施工に強い理由

水和熱を低減する成分を配合

TYPE-Mには水和熱を抑制するように配合されており、硬化時のモルタル温度上昇を抑えます。カタログの「簡易断熱温度上昇」測定例でも、TYPE-1と比較してTYPE-Mの温度上昇が明らかに抑えられています。

マスモルタルでの施工が可能

水和熱の低減により、グラウト厚が大きい部位や1回の打設量が多い施工(マスモルタル)でも品質を安定させることができます。大型機械基礎や大規模耐震補強工事にも適しています。

高温下での品質安定性

カタログには「夏場等の高い温度環境下においても、良質なモルタルが得られます」と明記されています。養生温度30℃の条件でも材齢3日で32.5N/mm²以上の強度が確認されています。

TYPE-Mを選ぶべき現場のチェックリスト

以下に一つでも当てはまる場合は、TYPE-1ではなくTYPE-Mの使用をご検討ください。

☑ 施工時期が6月〜9月(外気温が25℃を超える時期)

☑ グラウト厚が比較的大きい(ベースプレート下など厚みのある部位)

☑ 1回の打設量が多い(大型機械基礎・大規模耐震補強)

☑ 直射日光が当たる屋外・開放的な現場

☑ 養生環境の温度管理が難しい現場

夏季施工での共通注意点

TYPE-Mを使用する場合も、夏季施工では以下の点に注意が必要です。

練り混ぜ水は冷水を使用する

モルタル温度を下げるため、練り混ぜ水を冷やすことが効果的です。

材料を日陰で保管する

直射日光が当たる場所に材料を置くと、袋の中の温度が上がり品質に影響します。使用直前まで日陰で保管してください。

養生マットで直射日光を遮る

施工後のモルタル表面は養生マットで覆い、急激な乾燥と温度上昇を防いでください。

試し練りで水量を確認

温度・湿度により適正水量が変化します。必ず試し練りを行い、J14漏斗流下値で目標軟度(8±2秒)を確認してください。

おわりに

「夏はTYPE-1でも大丈夫だろう」と思われがちですが、水和熱の問題は気温が高くなるほどリスクが増します。特に厚みのある部位への施工や大量打設では、TYPE-Mへの切り替えが品質安定につながります。

川上産業では、デンカ プレタスコンシリーズを取り扱っております。TYPE-1 / TYPE-M はもちろん、現場の条件に合わせて最適な製品をご提案します。「この現場ではどっちがいい?」というご相談もお気軽にどうぞ。

参照元

  1. デンカ株式会社 プレタスコンTYPE-M カタログ https://www.denka.co.jp/pdf/elastomer_infra/catalog/T-143_%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%B3%EF%BC%B4%EF%BC%B9%EF%BC%B0%EF%BC%A5%EF%BC%8D%EF%BC%AD_1509-03495_2015.09.pdf
  2. デンカ株式会社 プレタスコンTYPE-1 カタログ https://www.denka.co.jp/pdf/elastomer_infra/catalog/T-111%20%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%B3%20TYPE-1TYPE-1R%202020-06.pdf

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